重心とは?モーメントとは?機械設計で必要な基礎知識

重心やモーメントの考え方

重心とは?

物体の重さの中心のことです。

モーメントとは?

ある点を中心に回転させようとする力の作用のことです。

扉の重心位置について

図のように、均一な状態の蓋・扉であれば、重心位置は真ん中です。
すなわち、X1=L1÷2 となります。

  • ※ 今まで弊社のカタログが、計算式をL1÷2 としていたのは、この為です。
  • ※ 蓋・扉の厚みが薄い場合の式です。

モーメントを求める式

蓋・扉のモーメント M
=
回転中心から重心位置までの水平距離 X1
×
質量 m

モーメントは重心位置までの「水平距離」で計算し、その値は開き角度により変わるため、最大モーメントを求める式は下記になります。

蓋・扉の最大モーメント
=
回転中心から重心位置までの水平距離の一番大きい値
×
質量

ヒンジやステー選定時のポイント

フリーストップ

  • 蓋・扉のモーメントより、ヒンジ・ステーのトルクが大きければ、フリーストップします。
  • 蓋・扉のモーメントとヒンジ・ステーのトルクが近い方が、操作感が軽いため、なるべく近づけた方が良いと考えます。
ヒンジ(ステー)のトルク
蓋・扉の
最大モーメント

※ ヒンジ(ステー)を複数使う場合はトルク値に使用個数をかけた値になります。

ダンパー(ソフトモーション)

ヒンジ(ステー)の最大トルク
蓋・扉の最大モーメント
ヒンジ(ステー)の最小トルク

※ ヒンジ(ステー)を複数使う場合はトルク値に使用個数をかけた値になります。

重心の計算方法(複雑形状の場合の考え方)

複雑な形状の重心を求める方法

蓋形状がL字型などになっている場合、単純形状に分割して部分ごとに重心位置を計算し、その合計で全体の重心を求めます。木板に鏡を付ける場合なども同様の考え方です。

2分割にした例で計算してみましょう

蓋A部重心 G1

長さ L1
cm
厚さ t1
cm
質量 m1
kg
重心G1のX方向距離 X1
cm
重心G1とのなす角度
°
重心G1のY方向距離 Y1
cm
A部のモーメント X方向
kgf・cm
重心G1の距離
cm
A部のモーメント Y方向
kgf・cm
  • ※ 回転中心よりマイナス側にある場合はマイナスで入力
  • ※ 計算を分かりやすくするため、表記と入力単位を「mm」から「cm」にしています。

蓋B部重心 G2

長さ L2
cm
厚さ t2
cm
質量 m2
kg
重心G2のX方向距離 X2
cm
重心G2とのなす角度
°
重心G2のY方向距離 Y
cm
B部のモーメント X方向
kgf・cm
重心G2の距離
cm
B部のモーメント Y方向
kgf・cm
  • ※ 回転中心よりマイナス側にある場合はマイナスで入力
  • ※ 計算を分かりやすくするため、表記と入力単位を「mm」から「cm」にしています。

合計重心 G

総質量
kg
X方向重心位置
cm
X方向重心位置
mm
Y方向重心位置
cm
Y方向重心位置
mm
合計重心までの距離
cm
合計重心までの距離
mm
合計重心とのなす角度
°

※ 小数点第3位以下は四捨五入しています。

重心位置が分からない場合

蓋・扉が既に取り付いていて重心位置が計算できない場合の必要トルクの求め方として、ばねばかりを使う方法があります。
図のように、ばねばかりで持ち上げて「最大値」「回転中心から測定場所までの距離」を測ります。

L1
×
F1
=
蓋・扉のモーメント
L1
×
F1の最大値
=
蓋・扉の最大モーメント

※ 蓋に、色々な物(機器)が付くと、重心位置計算が困難な場合があります。
その場合は、ある程度の目安重量や重心位置を仮計算しておいて、ヒンジ(ステー)の仮選定をしておきます。
実際に組み立てた後に、上記方法を用いて確認すれば、正確な必要トルク値が判明するので、正式にヒンジ(ステー)を選定することが出来ます。

距離(L1)=100cm、力(F1)=2.5kg だった場合、モーメントを求める式にあてはめると、蓋・扉のモーメントは100cm×2.5kg=250kgf・cm となります。
例えばこの蓋・扉をフリーストップさせるためには、ヒンジ(ステー)のトルク値は250kgf・cm(=24.5N·m)以上が必要です。
ヒンジ(ステー)のトルク値 ≧ 250kgf・cm(=24.5 N·m) となるわけです。

実際に計算してみましょう

回転中心から測定場所までの距離 L1
cm
ばねばかりでの測定値 F1
kg

蓋・扉のモーメント = L1×F1 ×9.80665÷100

N·m

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