トルクヒンジの基礎知識
トルクヒンジの仕組みや種類、使い方などの基礎知識をご紹介します。
実際の製品選定については、トルクヒンジ選定ツールをぜひお試しください。
トルクヒンジとは?
トルクヒンジとは?
トルクヒンジとは、開閉中の扉や蓋、カバーを任意の位置、角度で “ピタッ”と止めるヒンジ(蝶番)で「フリーストップヒンジ」や「トルク蝶番」「フリクションヒンジ」と呼ばれることもあります。任意の位置で“ピタッ”と止まることを「フリーストップ機能」と言います。
トルクヒンジを使えば、装置や設備の使いごこちや付加価値を高めることができます。

なぜ“ピタッ”と止まるの? - トルクヒンジの構造
トルクヒンジの軸部は、摩擦を利用した構造です。扉や蓋の開閉動作(物体の回転する力)によって軸部で摩擦が発生し、フリーストップ機能がきます。

トルクヒンジの構造の種類

ディスク構造
可動ディスクの間に固定ディスクを挟んで回転させると摩擦が発生します。

カール構造
軸に板バネを巻きつけて回転させると摩擦が発生します。

クリップ構造
クリップで軸をおさえて回転させると摩擦が発生します。

パイプ構造
樹脂製のパイプに圧入したシャフトの回転。
トルクヒンジを選ぶメリット
メリット01
作業効率UP
ヒンジの力で扉が止まるので、ストッパー操作不要。

メリット02
デザイン性UP
ステーが不要なため、内部がすっきりします。

メリット03
安全性UP
カバーの落下がなく、安全です。

トルクヒンジの種類
トルクヒンジの形状
画像をタップすることでイメージが切り替わります。

平蝶番・旗蝶番
もっともスタンダードな形状です。

ブラケット
ヒンジ本体の形状が特殊です。

インサート
インサート成形または圧入で取り付けます。ヒンジ本体が外から見えません。

スイベル・多軸
チルト方向、スイベル方向など、さまざまな方向にフリーストップします。

裏蝶番
表からヒンジが見えないため、筐体のデザインを損ねません。
付加機能付のトルクヒンジについて
トルクヒンジにはただフリーストップさせるだけでなく、さまざまな「付加価値」を持った製品が多くあります。
ワンウェイトルクヒンジ
フリーストップが一方向にのみ働きます。
逆方向はトルクが発生しないのでスムーズに動かせます。

持ち上げる方向にトルクが発止しない

持ち上げる方向にもトルクが発生
調整機能付トルクヒンジ
扉の重さや操作感に応じてトルクの強さを調整できます。トルクにばらつきが発生した際、均一に調整できるなど、メンテナンス性に優れます。


ディテントトルクヒンジ
閉まり際にトルクを解放するため、扉や蓋が閉まりきらず浮いてしまう(はね返り) 現象のスプリングバックが起きません。扉を保持する部品が不要なので、内部がすっきりします。


アシストトルクヒンジ
蓋・扉を持ち上げる際、アシストトルクによって通常のヒンジよりも軽く操作できます。

アシストトルクで軽々操作

手の力だけで操作
使用されるシーン・採用事例の紹介
機械のカバーや、モニターや照明器具の角度調整に最適です。
医療機器・工作機械・乗り物・食品機械など、さまざまな業界で活躍しています。

医療機器

工作機械

乗り物

食品機械
トルクヒンジの選定について
扉の重さに合ったトルクのものを選びましょう。
トルクの強さは製品によって異なります。

0.45 N·m

4.0 N·m
扉モーメント
モーメントとは?
ある点を中心に回転させようとする力の作用のことです。
扉モーメントとは?
扉がヒンジを回転させようとする力です。トルクヒンジのトルク値が、扉モーメントより高くなければ扉はフリーストップしません。

フリーストップしない
トルクヒンジの
トルク値
扉モーメント

フリーストップする
トルクヒンジの
トルク値
扉モーメント
トルクヒンジの許容差
選定の際には、トルクヒンジのもつ値のバラつき(許容差)も考慮して計算する必要があります。
例えば、トルク値が3N·mのトルクヒンジに±20%の許容差がある場合、下限値のトルク値は3N·mを-20%した値 =2.4N·mとなります。仮に扉モーメントが2.5N·mだったとすると、下振れ時には扉がフリーストップしない場合があるということです。
扉モーメントの詳しい計算方法については「基礎知識 重心やトルクの考え方」をご確認ください。
面倒なモーメント計算も
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重心位置までの距離や蓋の質量などを入力するだけで、
使える製品が選定できる「選定ツールさスガくん」をぜひご利用ください。